組織全体を透明化する技術の開発は、組織観察の常識を超える技術の発明でした。理化学研究所のグループが樹立したSca/e(1)やウイーン大学が発明した3DISCO(2)は世の中に透明化試薬を知らしめるきっかけとなった報告例です。マウス全脳の組織を特定の試薬に浸け込むことで丸ごと透明化し、組織全体の蛍光イメージングを成功させた事例は神経科学分野に鮮烈な印象を与えました。
このような透明化手法は、組織と溶液間の光の屈折率を同程度に調節することで視覚的に透明に見せています。このことから屈折率を調整した溶液の組織への浸潤が組織の透明度に深く関与していると考えられます。その組織の透明度を最大限確保できる可能性を見せているのが、2013年スタンフォード大学のグループが開発したCLARITY(3)と呼ばれる透明化手法です。
電気泳動法による脱脂
(CLARITY)
組織と溶液の屈折率を調整
(透明化試薬)