1、透明化の速度が速い

CLARITY法は何といっても透明化速度が速いのが特長です。SDS-PAGEの原理を利用して脱脂を強力に行なうことで短時間での透明化を実現できます。透明化の速度は、温度条件、電流値に大きく左右されます。これらのパラメータを適切に組織ごとに選択する必要があります。

マウス脳の透明化画像



2、あらゆる組織を透明に

CLARITY法のSDSによる強力な脱脂によって、脳以外の組織も透明化をすることができます。

Stochastic electrotransport selectively enhances thetransport of highly electromobile molecule. Proc. Natl. Acad. Sci. 2015. 112. E6274-6283.

 


各組織の透明化画像



3、抗体染色が有利

透明化試薬による透明化手法と比べて、抗体染色が圧倒的に有利です。それはSDS-PAGEの原理を利用した強力な脱脂にあります。CLARITY法ではSDSミセルによって脂質成分が除去されます。そのため、抗体浸透を阻む細胞膜などがなくなるため、抗体が組織深部へアクセスしやすい条件になっています。

CLARITY処理をした組織内部へ抗体が浸透する様子


作成日 2017/06/26

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透明化組織の新しい染色アプローチ
組織の染色には数10 µmの厚さにスライスした切片を用いることが一般的です。これは染色に使用する抗体が組織深部へアクセスすることが困難なため、薄くスライスした切片標本が必要になります。 そのため、顕微鏡で撮像する際は染色した切片画像をつなぎ合わせる作業が必要です。 透明化標本の場合、特にCLARITYなどの脱脂を伴う方法で作成したサンプルは、スライスをせず全組織のまま抗体を深部までアクセスすることが可能になりますが、通常の浸漬法では抗体を深部まで染めるのに数週間ほどかかります。 この時間を短縮するために、電気泳動法を用いて抗体を物理的な拡散で組織深部へ移動させる方法が開発され(1)、同年にCell誌で全組織を抗体染色する新しいアプローチとして、「Switch」法が発表されました。 このSwitch法は、抗体をラベリングする際にOFFとONの2つの溶液を使用することがポイントです。 OFF溶液:低pHかつSDSを含む ON溶液:中pHでSDSを含まない OFF溶液は低pHかつSDSを含む溶液に調製されており、抗体が組織へアクセスしても標的抗原には結合しません。 このOFFステップで組織内へ均一に抗体を分布させた後、ON溶液に切り替えることで組織内へ浸潤した抗体が抗原と結合します。 この2つのステップを介することで、抗体の染色ムラを抑え、均一なラベリングを行なうことができます。 このSwitch法と電気泳動の高速免染を掛け合わせたのが、SmartLabel高速免疫染色システムになります。