CLARITY透明化にかかる日数




1、前染色処理を施したサンプルの場合(トランスジェニック、ウイルスインジェクションなど)

前染色した組織の場合は、透明化処理をして高屈折率試薬に組織を浸漬させるだけのシンプルな工程です。組織透明化までおよそ4日程度です。

①灌流固定液の浸透(1日)

ハイドロゲルモノマー溶液を浸透させます。

②組織のゲル化(ゲル化:2時間、洗浄:1日)

組織をゲル化し、組織内部のタンパク質を固定します。

③組織透明化(約1日*)

SDS電気泳動で透明化処理を行ないます。

④屈折率の調製(1日)

高屈折率試薬に浸漬させ、さらに透明にします。
 

*組織の大きさによって、透明化にかかる時間が前後する場合があります。



前染色したサンプルを用いた際のCLARITY透明化にかかる日数



2、後染色処理を行なう場合(免疫染色など)

後染色を行なう場合、組織を透明化処理してから染色を実施します。CLARITY法で透明化処理をすると、細胞膜由来成分の脂質が洗浄されますので、抗体が浸透しやすい条件になっています。ただし、ホール組織の場合、目安2週間程度染色に時間がかかります。

①灌流固定液の浸透(1日)

ハイドロゲルモノマー溶液を浸透させます。

②組織のゲル化(ゲル化:2時間、洗浄:1日)

組織をゲル化し、組織内部のタンパク質を固定します。

③組織透明化(約1日*)

SDS電気泳動で透明化処理を行ないます。

④免疫染色(浸漬法:約2週間、SmartLabel:2日)

透明化処理したサンプルを免疫染色液に浸漬させ、攪拌浸透させます。
 

⑤屈折率の調製(1日)

高屈折率試薬に浸漬させ、さらに透明にします。
 

*組織の大きさによって、透明化にかかる時間が前後する場合があります。



後染色を行なうサンプルを用いた際のCLARITY透明化にかかる日数


作成日 2017/06/26

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透明化組織の新しい染色アプローチ
組織の染色には数10 µmの厚さにスライスした切片を用いることが一般的です。これは染色に使用する抗体が組織深部へアクセスすることが困難なため、薄くスライスした切片標本が必要になります。 そのため、顕微鏡で撮像する際は染色した切片画像をつなぎ合わせる作業が必要です。 透明化標本の場合、特にCLARITYなどの脱脂を伴う方法で作成したサンプルは、スライスをせず全組織のまま抗体を深部までアクセスすることが可能になりますが、通常の浸漬法では抗体を深部まで染めるのに数週間ほどかかります。 この時間を短縮するために、電気泳動法を用いて抗体を物理的な拡散で組織深部へ移動させる方法が開発され(1)、同年にCell誌で全組織を抗体染色する新しいアプローチとして、「Switch」法が発表されました。 このSwitch法は、抗体をラベリングする際にOFFとONの2つの溶液を使用することがポイントです。 OFF溶液:低pHかつSDSを含む ON溶液:中pHでSDSを含まない OFF溶液は低pHかつSDSを含む溶液に調製されており、抗体が組織へアクセスしても標的抗原には結合しません。 このOFFステップで組織内へ均一に抗体を分布させた後、ON溶液に切り替えることで組織内へ浸潤した抗体が抗原と結合します。 この2つのステップを介することで、抗体の染色ムラを抑え、均一なラベリングを行なうことができます。 このSwitch法と電気泳動の高速免染を掛け合わせたのが、SmartLabel高速免疫染色システムになります。