eFLASH法は、電気泳動を活用した組織免疫染色方法です。この電気泳動を活用する事例として、CLARITY組織透明化技術があります。CLARITY法では、SDSの電気泳動を組織全体に施すことによって、組織内の脱脂を強力に行なうことができます。これは陰イオン性界面活性剤であるSDSが脂質の周りに吸着し、ミセルを形成すると、電気泳動によってプラス方向に移動する仕組みを利用しています。
eFLASH法では、この電気泳動で大分子である抗体を組織の深部へ高速にアクセスすることができます。この方法では陰イオン性界面活性剤として、NaDC (Sodium Deoxycholate) を利用しています。NaDCはpHによって抗体との親和性が変化することが知られています。そのため、電気泳動によってもたらされる溶液のpH変化を利用することによって、抗体の組織中の抗原の反応性を制御することが可能です。この現象を利用して組織の抗体染色を均一かつ高速に行なうシステムがSmartLabelです。
〇NaDCの特長
Yun et al (2019) bioRxivの論文から抜粋