ナノポアリーダーは、Solid State (固体基板)ナノポアチップおよび生体チャネル (Biological nanopre)用のチップの両方に対応したポータブルなシステムです。超低ノイズでの測定が可能になり、ナノポアを通過する単一生体分子の検出やDNAの研究に使用することができます。
2種類のナノポアに対応
シリコン基板や生体チャネルのナノポアを利用して、DNAの塩基配列や生体分子を測定する方法です。生体分子やDNAは電荷をもっていることが知られており、電位勾配によって移動することが知られています。ナノポアセンサーは、生体分子やDNAがナノポアを通過する際に生じる遮蔽電流をモニターすることで測定を行ないます。
Solid State (シリコン基板)のナノポアセンサーの原理
生体チャネルを利用したナノポアセンサーの原理
ナノポアチップ
実際のナノポア(別売)
ナノポアチップの概要
Solid Stateナノポアチップ用のフローセルになります。ナノポアチップはフローセル内に垂直に固定され、両面のガスケットでシールされてそれぞれの流路が左右のチャンバーに繋がります。ナノポアリーダーで左右のチャンバーに電圧勾配をかけることで帯電した分子が引っ張られてナノポアを通過し、その際の遮蔽電流を記録します。
dsDNAフラグメントが17nmのナノポアを通過する際の電流
17nmポア使用、+200mV、1M KCl(10mM Trisバッファ、1mM EDTA、pH8.0)。(a)15kbp、(b)1000bp、(c)400bpのdsDNAについて、100kHzのバンド幅でイベント時間幅ヒストグラム解析を行ったところ。赤線は滞留時間の指数近似フィッティング曲線。
- Niedzwiecki et al Rev Sci Instrum. 2020 Mar 1; 91(3):031301
200nmおよび350nmのポリスチレンナノ粒子がポリイミド製1µmポアを通過する際の電流
+600mVのバイアス電圧下で20kHzで測定。ピークから2つの粒子を弁別できます。
水平型
垂直型
バイレイヤー用チップは、50-150 µmのマイクロ孔が空いており、Painting法の原理を利用し、有機溶剤に溶かした脂質を筆で塗っていき、マイクロ孔の上部に脂質二分子膜を作成することができます。
この脂質二分子膜に生体チャネル(ヘモリシンなど)を包埋し、生体チャネル内を通過する生体分子をイオン電流の遮蔽として観測することができます。
KCVntsチャンネルの電流
-60mV、1M KCl、pH7、1.25kHzサンプリングレートで記録。ペインティング法で150µmポアに形成されたDPhPc二重膜にイミダゾールで希釈したナノディスクを導入。チャンネルの開閉電流レベルが観察された。上の波形はチャンネルタンパク質導入前。Prof. G. Thiel(TU-Darmstadt University)のご厚意により提供。
RMSノイズ | 電圧レンジ(±700 mV) -70 fA rms @ 1kHz - -244 fA rms @ 10 kHz -2,29 pA rms @ 100 kHz 電圧レンジ(±2000 mV) -100 fA rms @ 1kHz -415 fA rms @ 10 kHz -3,51 pA rms @ 100 kHz |
ゲイン | ±200 pA ±2 nA ±20 nA ±200 nA |
電圧レンジ | ±700 mV ±2000 mV |
バンド幅 | 62.5 kHz or 100 kHz |
最大サンプリングレート | 200 kHz |
電源 | USB |
サイズ | 101 x 44 x 18 mm, 140 g |
対応PC | Windows 10 or 11 8 GB RAM以上 ディスプレイ 1920 x 1080 推奨 |
型式 | 品名 |
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eNPR-100kHz | ナノポアリーダー(チップ、フローセル別売) |
002848 | Solid Stateナノポアチップ用フローセル |
002996 | 交換用ガスケット(002848用) |
001417 | バイレイヤー用チップ、水平型、100µm孔 |
001418 | バイレイヤー用チップ、水平型、150µm孔 |
002786 | バイレイヤー用チップ、垂直型、50µm孔 |
002794 | バイレイヤー用チップ、垂直型、75µm孔 |
002795 | バイレイヤー用チップ、垂直型、100µm孔 |
002796 | バイレイヤー用チップ、垂直型、140µm孔 |