アフリカツメガエルの卵母細胞オーサイトはイオンチャンネルおよび受容体タンパク質の発現系として、創薬研究の分野で広く利用されてきました。オーサイトは目的とする遺伝子の発現が容易で、また膜電流のs/n比が高く明確な電気生理学的データが得られるため、膜タンパク質の解析に理想的なアッセイ系です。ロボインジェクトは遺伝子のインジェクション機能を備え、ロボオーサイト2は2電極式ボルテージクランプ膜電流記録の機能を備えており、薬物の2次スクリーニングに必要なタスクを実行します。
アフリカツメガエル(Xenopus laevis)は飼育が簡単で、その卵母細胞であるオーサイトは一度に多量に採取でき、直径1~1.2mm程と大きいため扱いが容易です。一般にオーサイトを用いた膜タンパク質スクリーニングは、まず発現させたいタンパク質をコードする遺伝子(cDNA/mRNA)をインジェクションし、数日間培養してして膜タンパク質を発現させた後、二電極式ボルテージクランプ法で薬物および固定電位に応答する膜電流を記録する、という手順で行います。
スループット | 手動による作業 | ロボオーサイト |
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インジェクション数 / 1日あたり | 150 | 2,000 |
コンパウンド 数/ 1年あたり | 500 | 10,000 |
データポイント 数/ 1年 あたり | 12,500 | 500,000 |
ロボオーサイトはコンパクトかつ機能的なデザインで、作業台の上にわずかなスペースがあれば十分に設置できます。インジェクションと膜電流記録はディスポーザブルタイプのごく一般的な96ウェルプレートで行います。一旦各ウェルにオーサイトをセットすれば、実験プロトコルの終了までオーサイトを他の容器に移しかえる必要がありません。ウェルプレートはリニアモーター式のキャリアで水平にスムースに移動します。インジェクションニードルと膜電流記録用プローブ(メジャリングヘッド)はそれぞれ独立した垂直移動アームにセットされ、その移動分解能は33μmです。インジェクション圧・深さ・アームの移動スピードはソフト上で正確に設定可能です。メジャリングヘッドには電圧固定用電極・膜電流測定用電極・還流のイン/アウトのポートが備わっており、電極液を満たせばすぐ使える状態で出荷されます。
インジェクション及び膜電流測定ともに、一回のマウスクリックでプロトコルがスタートし、自動的に終了します。ロボオーサイトソフトウェアは96ウェル分をフルオートメーションで制御します。インジェクション圧およびホールド圧、インジェクションの深さ、オフセット補正、固定電位およびそのプロトコル、薬液潅流及びウォッシュアウトのプロトコル、オプションのリキッドハンドラーの制御が可能です。またオーサイトの状態を保つために一定時間ごとにバッファの入れ替えも実行できます。プロトコルはスクリプト形式でデザインします。プロトコルのテンプレートが多数ソフトウェアパッケージに含まれていますので、初めて使用される方でも安心して使用できます。記録されたデータはオンライン・オフラインでピーク検出・平均値等を解析し、解析結果を自動的にMicrosoft Accessデータベースに蓄積します。ASCII形式で出力し任意のソフトウェアによる解析も可能です。
電位依存性チャンネル
「hERG チャンネル」:心筋QT延長に関与するK+チャンネルです。阻害剤評価、薬物の副作用(催不整脈性)の早期スクリーニングに最適です。
トランスポーター
「Na/K-ATPase トランスポーター」:Na+/K+の細胞内外の勾配を保ち、強心配糖体で抑制されます。強心薬のスクリーニングに最適です。
リガンド依存性チャンネル
「GABAレセプター」:中枢神経に存在し抗不安薬等のターゲットとなります。オーサイトは複数サブユニット発現の調節が簡単です。
ロボオーサイトに標準装備される重力式バルブコントロール潅流システムはほとんどの実験系に適した設計となっています。大量の薬物スクリーニングや微量のリガンドによる評価を行いたい場合は、オプションでGilson社XL222リキッドハンドラーをシステムに組み込むことができます。400種類の薬物を格納できるので、オーサイトの状態が許す限り1個のオーサイトから何種類もの薬物のデータを取得可能です(最高で約60種類程度)。
ロボット部分 | サイズ(W × D × H) | 390mm x 360mm x 500mm |
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重量 | 34.5kg | |
供給電圧 | 90VAC ~ 132VAC @ 60Hz | |
供給電流 | 1.6A maxRMS @ 100VAC | |
動作温度 | 10℃ ~ 20℃ | |
供給エアー圧 | 5bar ~ 10bar | |
圧縮エアー消費量 | 20l/min | |
インジェクション圧 | 0bar ~ 3bar | |
移動分解能 | XY:20μm / Z:33μm | |
クランプアンプ(本体内蔵) | 記録電流レンジ | -32000nA ~ +32000nA |
電流分解能 | 1nA (16bit) | |
クランプ電圧レンジ | -500mV ~ +500mV | |
クランプ電圧分解能 | 1mV | |
サンプリングレート | Max 10kHz | |
外部電源 | 動作電圧 | 0℃ ~ 40℃ |
サイズ(W × D × H) | 132mm x 42mm x 62mm | |
重量 | 565g | |
入力電圧 | 90VAC ~ 132VAC @ 60Hz | |
潅流システム(本体内蔵) | 潅流チャンネル数 | 8 or 16(選択可能) |
フローレート | 約4ml/min | |
外部バキュームポンプ | 供給電圧 | 115V @ 60Hz |
ソフトウェア | 動作OS | Windows |
型式 | 品名 |
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Roboocyte2 | ロボオーサイト基本システム(重力式還流) |
Gilson-GX-271 | リキッドハンドラー |
MH | メジャリングヘッド |
L-S20-4/110V | コンプレッサー |
Roboinject | ロボインジェクト インジェクター |